HOME > WRAPの起源 > メアリー エレン・コープランドさんのエッセー > 自分が自分のエキスパート
自分が自分のエキスパート 1 2

 あなたはあなた自身にとっての、もっとも優れた専門家です。あなたについてあなたほど知っている人は他にいません。あなたの体や頭のなかには他の誰も住んでいません。あなたが経験したこととまったく同じ経験をした人もいないのです。あなたが自分の人生でなにをしたいのかを知っている人はいません。あなたの目標、あなたの夢についても(私は職業カウンセラーから自分のファイルを見せてもらったときのことを覚えています。私の人生の目標やそれをどのように達成するかについて書かれていました。それは自分では見たこともないもので、私は面食らってしまいました)。

 あなたが私たちの多くと同じようであるならば、困難に出くわしたときや、辛い症状のときや、人生の節目を迎えているとき、自分の外に答えを見つけようとするでしょう。そしてあなたに喜んで指示を出し、あなたの代わりに意思決定をし、行動する人たちがたくさんいることに気づくでしょう。パートナーや家族や友人や仲間や宗教的、精神的指導者やカウンセラー、セラピスト、医者、精神科医、栄養士、鍼灸師のような医療の専門家などに助けを求めるかもしれません。そしてこの人たちが皆、なんらかの援助や情報や助言をくれるかたわらで、あなたは自分自身というもっとも重要な権威を見落としてしまうかもしれません。もし、あなたがあなた自身の心の声に気がつくことができなければ、あなたのとる行動は役に立つとはいえないものになることでしょう。

 1976年、私はまた深いうつを経験していました。生涯を通して私を悩ませ続けた、繰り返し起こるうつ状態でした。私はこのうつの起こりうる原因に目を向けたことがありませんでした。自分以外のなにかが原因と思っていたし、コントロールできるとは思わず、うつが私をコントロールしていると思っていました。そのときは、私は助けを求めようと決めました。精神科医に会いに行き、症状を訴えました。彼は、私は母のように躁うつがあり、リチウムと抗うつ剤を飲めばよくなるといいました。私は彼の診断を受け容れて処方薬を服用しました。振り返ってみれば、私は彼に躁うつであることの意味や、どのように私の診断を下したのかを尋ねるべきでした。そうすればその診断が本当に適したものか、自分で決めることができたのに。私の人生の他の出来事――たとえば、虐待されていたり、過重労働で、いつもやるべきことに圧倒されていたこと、子どものときの辛い経験、親しい友達や支えてくれる人がいなかったこと、やりたいことができずにいたことなど――こうしたことが、私の症状の原因になったり、悪くしたりするものなのかどうか、尋ねることができたかも知れません。

 彼が勧めた薬の長期や短期の副作用の可能性について、服用しているときどのくらい水を飲むのか、服用すべきでないときがあるのか、摂取し過ぎたときはどうなるのか、など絶対に尋ねるべきだったと、いまはわかっています。自分で感じ取り、学んだことに基づいて、医者の指示どおりに薬を飲むかどうかを決めることができたはずです。

 そのときから何年かのあいだ、私は助けや指導を求めて、たくさんの他の情報源に手を伸ばしました。 それには、次のようなものがあります。

 私が精神科医に本を書きたいと話したとき、彼は“誇大妄想”だねと言いました。そのとき以来、私は10冊の本を書き、出版しています。同じ精神科医は、私がワークショップを進行するなんてまったく無理だといいました。それから私は100以上のワークショップを進行し、世界中の何千人もの人がそれに参加しています。

次のページ >