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関係性におけるクライシス

 関係が完全に壊れてしまう前に、何か出来るとよいのでしょうが、不幸なことに、コミュニケーションがなりたたなくなったり、メンバーのつながりが切れてしまうことは、頻繁に起きるものです。そのような状況を"クライシス”と呼びことにします。このようなときには、外部の仲介者を招き、コミュニケーションの建て直しをする必要があるでしょう。

 関係がクライシスであることを示唆するものは、裁判に持ち込むという脅しがなされる、解決できそうにない衝突が起きている、コントロールを奪われる、相手の安全を脅かすまでに力の乱用が起きている、など。

 このようなときには、全てのメンバーが、今現在のストーリーと、コミュニケーションの仕方から、一歩引き下がることが、絶対的に求められます。誰もが話す機会を与えられ、その状況についての、さまざまな見方が明らかになるように、対話ができる環境をつくりだす仲介者がいると役に立つかもしれません。そして、それぞれが自分に貢献できることを全うすることで、クライシスを乗り越えることが出来るかもしれません。過去に生き延びたクライシスの経験を振り返り、次にクライシスが起きたらどうするかを話し合っておきましょう。時には、関係を離れること(離婚、グループを解散する、など)も、建設的な対応といえるでしょう。

おわりに

 関係性ラップが一旦出来上がったら、相手の人やグループのメンバーと、これでよいか、どこか変えたいところがあるかを話し合うとよいでしょう。また、ラップが効果的であるためには、定期的に見直す必要があります。週に一度、月に一度、見直して、関係性が進展しているか振り返ることも大切でしょう。

 プランに慣れ親しんでくると、「いい感じ」の関係性であるために、何をしたらよいのかがすぐにわかるようになるでしょう。引き金や、関係性に乱れが生じているサインに気づき、状況を改善するための対応が素早くなされるようになります。

 ラップを作る過程そのものが、関係性についての意識を高めることにつながり、お互いがリスクをとり、関係が"進化”することに貢献することでしょう。