問題を解決するときのように、このことをいろんな側面から考えみるということはしません。そうではなく、それが体の中にもたらしている感情に焦点をあてます。その感情に合った言葉や言いまわし、イメージを思い浮かべます。赤と青の、壊れやすそうな大きな陶器の花瓶がひび割れているイメージが浮かびます。そして、浮かんできた言葉、言いまわし、イメージと、感情のあいだを行ったりきたりして、それが本当にぴったり合っているかどうかを確かめます。合っていなかったら、そのイメージをやり過ごし、本当に合っていると感じられるものを選びます。壊れやすそうな花瓶のイメージは、感じていることと合っているようです。数分間、必要なだけ、言葉、言い回し、イメージと体のなかの感情のあいだを行ったりきたりします。そうしているうちに、体の感じ方に変化が生じることに気がつきます。数分間、その新しい感覚と一緒にいます。解放されたような、いい感じがします。
そして、さらに次に進む必要があるかどうか、それとも、ここでやめておくのがいいか、自分に問います。今度は、続けることにして、次のような簡単な質問を自分にします。
- この問題のどんなところが、私に○○(言葉かイメージ)のように感じさせるのだろう?
- この感じのなかで、最悪なことはなんだろう?
- このことのなにが、実際、そんなに悪いことなのだろう?
- この感じが求めていることはなんなのだろう?
- これが、どうなればよいのだろう?
- このことがうまく行っていたとしたら、どんな感じがするだろう?
- そんなふうに感じられるのを、なにが邪魔しているのだろう?
リラックスして、答えがやってくるようにします。心に浮かんできた答えと一緒にいます。頭で分析や批判をしないようにします。やってきた答えと時間を過ごし、特に、どんなふうに感じが変わったかに気がつくようにします。うつの感覚を徐々に悪化させている原因かも知れない、私の生活の断片が明らかになってきます。
もしそうしたほうがよいと思ったら、もう一回、フォーカシングをやるかもしれません。もしくは、新たに手にしたいい感じとともに、ふたたび忙しい生活に戻るかもしれません。胸のなかのしこりは、多分、もうなくなっているか、なくなりかけているでしょう。もし、それがまだそこにあったら、しこりが完全に消え去るまで、上に書いたことをすべて繰り返します。そうして、次回まで、技を集めた袋をしまっておきます。
(著:メアリー エレン・コープランド、訳:久野恵理)