リカバリーに焦点をあてた環境においては、サポートは松葉杖ではないし、他人からアウトカム(結果)を定義され命令されることはありません。相互サポートのプロセスでは、その関係を基にして、より充実し豊かな在り方であるように努力します。私たちは誰でも、なんらかの前提を関係のなかに持ち込みますが、サポートはお互いの成長と変化に心を開いているとき最大限の力を発揮します。
この相互的なサポートは、援助関係の世界でも必要とされることです。援助関係は決して本当の意味で相互的ではないし、いくつかの前提条件を取り除くことはできないかもしれません。しかし、過去に経験したような、子ども扱いをする関係から離れ、お互いの役割を変える努力をすることはできるはずです。そのために支援者が自分に問いかけてほしいことを以下に示しました。
- 誰かが新しい選択を試みようとしているとき、自分が感じる不安をどの程度、我慢することができるか?
- 個々の関係を深めようとするときに、境界線を常に定義し直すにはどうすればよいか?
- 診断名、病歴、ライフスタイルによって、自分はその人についてどのような思い込みをしているだろうか?どうしたら、思い込みや予測を脇において、先入観を持たずに状況を理解し、そして、相手の人もそうすることができるという可能性を受け入れることができるだろうか?
- 私たち双方にとって、力を発揮し、成長することの妨げになるかもしれないのはどのようなことだろうか?
サポートは誠実さと、何が助けになり支持的なのかについて自分が持っている思い込みを再検証する心構えを持つことから始まります。サポートは、支援者が誰かをしっかりと理解するとともに、その人が自分の行動に100%責任をもち、彼らが変化する力を持っている(自分を振り返る方法を持っている)と信じることを意味します。
誰にとっても、望みがないなどということはありません。誰でも選択する能力を持っています。従来は、医療・保健・福祉専門職が治療と予後を判断するように要求されてきました。そうするとき、学習した無力感、長期入院による影響、行動面での障壁などの覆いを取り除いてみてください。そうすることによって、自分の人生の責任者となり、相互的な人間関係を築き、常に変化する自己認識に形作られた新たな人生を再構築することを、発想豊かに手助けしはじめることができるのです。
私たちのサポートシステムの一部として、支援者は、常に変化に対する自分自身の障壁に目を向け、関係がどこで行き詰まり、依存的になるのかを理解し、自分自身のあまり健康的でない対処方法に注意を向けていなければなりません。支援者には、自分たちも苦労していることがあり、変わることは誰にとっても大変なことなのだと認識し、私たちと共感する言葉を持つことが求められています。
私たちが持っている“回復”への意欲に目を向け、自分と自分が援助している人たちとのあいだに大きな違いがあるという神話を捨て去る必要があります。そうすることで、サポートが真に双方向の現象になり、自分自身にチャレンジすることにおいて、お互いに力になっていると感じるような関係の枠組みができます。変わりたいという思いは人間関係を通じて育てられます。誰かが立てたプランに導かれて起きるものではありません。そうして、自分は人と異なり孤立しているという感覚を持ち続けることがなくなるのです。